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真・菊地探偵事務所 三章 9

9 太陽の塔

「それでは、始めようか」
 邪教の館の主は二つの剣を受け取り、それを台座へと移す。
 そしてしばらくすると部屋全体を稲光が包み、その閃光が消え去ると、そこには一振りになった剣、ヒノカグツチがその刀身の炎を猛らせていた。
「これが真のヒノカグツチ、持って行くがいい」
 鞘に収められたヒノカグツチを受け取ると、鞘が既に熱を帯びているように温かかった。
「……本当のヒノカグツチ、これがボクの守護であり、ボクの剣」
「真ちゃん! やったね!」
「うん……なんだかすごく手になじむ。懐かしい感じがする」
 自分の内にある何かが鳴動するのを感じた。
 殻にヒビが入るような感覚。だが、それが全てさらけ出されるのはまだ後。
 と、その時、ボルテクス界全体を揺らすような地震が起きた。
 地下にあるこの邪教の館も相当揺れたが、それでも部屋の中には一切影響がなかった。
「なんだ……地震?」
「どうやらオベリスクが現れたようだな」
 館の主は天井を見上げながら呟く。
「オベリスクが……?」
「二つあった剣、ヒノカグツチが一つになった事で、オベリスクが向かう先を見定めたのだ」
「つまり、空にあるカグツチを太陽だと認めた、って事?」
「然り。行け、魔人よ。お前の向かう場所はそこにあるのだろう?」
 主に背中を押され、真たちは邪教の館を出た。

*****

 地上に出ると、オフィス街の真ん中辺りから黒く高い塔が現れたのにすぐ気付いた。
 先ほどまでなかった巨大な塔。あれがオベリスク。
「雪歩、イオリ、ミキ、ホルス。みんな、準備はいいね?」
「うん」「とーぜん」「大丈夫なの」「問題ありません!」
 全員の答えと力強い頷きを受け、真たちはオベリスクへと歩き出す。

*****

 ほぼ時を同じく。
「驚いた……あんなものが地面から現れるなんて、非常識だわ」
「現状だってニンゲンからしたら、十分非常識って奴だろ」
「まぁ、それも確かに」
 オベリスクが現れるのを別の地域から見ていた春香とモムノフ。
 黒き塔は地面から現れ、見る見るうちに高みへと昇っていった。
 そして、それに呼応するように、カグツチからも塔が現れ、オベリスクの先端と直結している。
「それで、あれがカグツチ塔って奴ね。確かに、こりゃ一見にしかず、ね」
「だろ? 言葉で言ったとしても信じないだろ?」
「とにかく、目指す場所が見えたなら即行動。行くわよ、モムノフ」
「おうよ」
 二人もオベリスクへと歩を進める。

*****

 そしてアマラ神殿付近。
「ようやく顔を出しましたか」
「タカネはどうするんさー?」
 様子を窺っていたシジョウとヒビキ。
 シジョウは少し思案した後、外套をはためかせた。
「決まっています。私たちは葛葉のサマナー。創世を見届ける義務があります」
「そうこなくっちゃ!」
 向かう先はオベリスク。その胸中は、真意はどこにあるのか、未だに隠しつつ。

*****

 アマラ経絡の奥の奥から出でた神。
 ボルテクス界の端で成りを潜めていたそれは、やっと動き出す。
『ようやっと、カグツチへと至る道が現れたか』
 雷を八本、身体に這わせた姿は、雪歩がチューニングした姿と良く似ていた。
『私は殺す、全てを殺して、あの人の世界を作る。私にしか……出来ない』
 そう呟いたそれは、念じると周りに幾万の死人の兵士を作り出し、その軍勢を率いてオベリスクを目指す。
 それの名は『イザナミ』、元々はあずさだった存在である。
 このボルテクス界に二柱目、降り立った守護であり、神である。

*****

「見えたな」
 バサバサの白い髪をはためかせ、オフィス街のビルの上で、千早がオベリスク、カグツチ塔を見上げる。
『他のコトワリも既に動いているか。しかし、最後に勝つのはこの我らのコトワリ、ヨスガよ』
 他の連中の動向もすぐに感知し、それでも不適に笑う千早、いやゴズテンノウ。
 なんと言っても、ゴズテンノウにはその本来の力以外にペルソナの力もある。
 千早と言う器を見つけたのは、ゴズテンノウにとっては嬉しい誤算だったのだろう。
「熾天使たちよ、我に続け。我らの世、力の統べる世は目前だぞ」
「御意」
 ゴズテンノウの傍らに、二体の熾天使が降り立つ。
 豹頭の天使、オセ・ハレルとフラロウス・ハレルである。
 その天使を引きつれ、ゴズテンノウはオベリスクへと向かう。

*****

「さぁ、君はどう見る?」
 その様子を高みから眺める一つの影、やよい。
 カエルのポーチを首からぶら下げ、楽しそうに眺めている。
『さぁね、俺には見当もつかないよ』
 その傍らには一人の思念体がいた。
 姿かたちはぼやけているが、声は明らかにプロデューサーのモノである。
『ってかお前、そんな女の子に憑依するなんて、趣味悪いぞ』
「くくっ、愛らしいだろう?」
 確かに愛らしくはあるが、それでも中にいるのがあの悪魔だとわかれば、プロデューサーも軽々しく肯定出来ないだろう。
 今、やよいの中にいるのは事の発端とも言えよう悪魔、ルイ・サイファーと名乗ったあの男である。
 べろちょろからやよいを操っているのだ。
「私は楽しくて仕方がないよ。思い通りに事が進んでいるのだからね」
『本当にそう上手くいくのかよ?』
「いくさ。今回は一度も私の掌の上から出る事はない。そしてこれからもね」
『何故そう言い切れる?』
「この世界では、私が神だからさ」
 思い切り顔をゆがめて笑うやよいは、愛らしいとは言いがたかった。

*****

 こうしてボルテクス界は終わりへと進む。新たなる始まりを目指して。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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