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真・菊地探偵事務所 三章 8

8 守護

 ボルテクス界の外れ、誰も立ち寄らないような辺境、そんな場所にアマラ神殿と呼ばれる建物があった。
 三つのピラミッドと、それらに囲まれるようにして逆立ちしたピラミッドが突き刺さっているという、謎の造形が目立つ場所だが、そんな見かけによらず、ここはボルテクス界においてとても重要な役割を持った場所だった。
「ここが、アマラ神殿か」
 エントランスの鏡の間を抜け、真たちはピラミッドが立ち並ぶ場所までやってきた。
 先鋭的なデザインの広場に立って、真はかなり気圧されていた。
「なんだか個性的な場所だね」
「ねぇ、ホルス。ここで本当に真くんの守護が降ろせるの?」
「わ、私に聞かれましても……」
 ミキに尋ねられて、ホルスは答えに窮していた。
「ホルスがここに来るように言ったんだろ? 何か知ってるんじゃないのか?」
「私が知ってるのは、もしかしたらここで情報が得られるかも? って感じの事だけですよ。ぶっちゃけ、ここで何があるのかまではちょっと……」
「微妙に役に立たないわね! 仕方ない、真、ちょっとこの辺歩き回ってみましょう」
「そうだね、みんな、何が出てくるかわからないから慎重に行こう」
 そんなわけで、一行はピラミッドの中を探検してみる事にした。

****

――のだが、周りにある三つのピラミッドの中にいたのは野良の悪魔だけで、これと言って収穫はなかった。
「あれだけこれ見よがしに並んでるピラミッドの中に何もないなんて……」
「じゃあ、残るは真ん中の逆立ちピラミッドだけなの」
「あの中に何もなかったら、ホルス、どうなるかわかってるんでしょうね?」
「ひぃ!? わ、私の所為ですか!?」
「い、イオリちゃん、ホルスさんだって悪気があったわけじゃないんだし……」
「悪気があったなら即刻氷漬けにしてやるわよ。……さ、真、真ん中のピラミッドに入ってみましょう」
「う、うん」
 イオリが『目覚めて』からこっち、一行の結束が強まったような気がしていた。
 ふんわりとではあるが、どこか懐かしい感じがする。まるで一度一緒に旅をしたような、そんなデジャビュに似た気さえするのだ。
 イオリだけでなく、ホルスやミキも気にかかる事を言っていたし、もしかしてこの既視感がその謎の鍵を握ってるのではなかろうか。
「真ちゃん、早く行こう?」
「雪歩は……」
「うん?」
「雪歩は何か、既視感のようなものを感じない? 前に僕らが旅をしたような……」
「うーん、よくわからないけど、私はこの世界自体が……なんていうかな、『違う』気がするの」
「……違う?」
「上手く言えないんだけどね。なんていうか、世界って神様が作ったものでしょう? でもこの世界は別の意思によって作られてる、って言うか」
「そりゃ、ボルテクス界は純粋に神の意思で作られた世界じゃないだろうけどさ」
 この世界が出来上がったのは、少なからず真の意思も混じっている。
 それは純粋に神に相当する存在が作り上げた世界とは言えないだろう。
「そうじゃなくて、このボルテクス界が出来上がる前から、私は違和感を感じてたの。私たちの住みなれた町、歩きなれた道、あの事務所の中でさえ」
「違和感……」
 雪歩が感じた既視感ではない違和感。
 真にはそれがなんなのか、わからないままだった。

 真ん中のピラミッドの中は薄暗い部屋が一つあるだけだった。
 床の下には水槽のようなものがあるようで、そこに大量のマガツヒがたまっている。
「これは……マガツヒを集める装置みたいですね」
 ホルスが周りを見回して、そう言う。
「オベリスクに良く似ているけど……核になるモノがない」
「どういうこと?」
「オベリスクと呼ばれる場所で構成されていたマガツヒを集める装置は、巫女と呼ばれる存在を核にしてマガツヒを集めていました。でもこの場所にはそれがない。そうじゃなければこんな大量のマガツヒなんか集められないと思うんですけど、うーん」
 ホルスはパタつきながら周りを飛び回って物色しているが、その疑問が解ける事はなかった。
 一方、そんな難しい事を考えるのが得意ではない真は、目に見えるものを判断する。
 床下にたまっているマガツヒ、そしてそこから延びる台座。
 台座にはそのてっぺんに何か乗せるような場所がある。
 そして、それは地下でアミとマミに貰った『ヤヒロノなんちゃら』がピッタリ収まるようである。
「ここにヤヒロノなんちゃらを乗っければいいのかな?」
「真、あんまり不用意な事をして厄介事を起こさないでよ?」
「僕がいつ、厄介事を起こしたんだよ?」
「まず、GUMPを手にした事がそもそもよね」
「うっ……」
 言われてみれば、見るからに怪しい小包を勝手に開けて、中身を物色するなんて、完全に不用意から来た厄介事だった。
 ガンプをすぐに処分していれば、今回の件は起こらなかったかもしれない。
 それはそれで、また別の事件が起こっていた可能性もあるが。
「でも真さん、そこにヤヒロノヒモロギを乗せる事は正解ですよ」
 辺りを飛び回っていたホルスが口を挟んだ。
「それをしないと、カグツチへと辿り着く事が出来ませんから」
「ここにヤヒロノなんちゃらをセットすれば、ワープできる、とか?」
「そんな簡単だったら良いんですけどね。実際は八割がた徒歩ですよ」
「え!? あんな高いところまで徒歩で!?」
「塔が伸びるんですよ。カグツチからね」
 ホルスが言うには、ヤヒロノヒモロギをセットすると、それが鍵になってカグツチから『カグツチ塔』と呼ばれる塔が伸びてきて、それを登る事でカグツチに辿り着く事ができるという。
「でもそのカグツチ塔が連結されるためのオベリスクが、このボルテクスにない事が気がかりですよねぇ」
「オベリスクってなんなのさ? さっきも言ってたけど」
「ニヒロがナイトメアシステムを使うため、ひいてはマガツヒを大量に集めるための重要な場所ですよ。アレがない事には、ニヒロとマントラ軍は全面戦争してたでしょうね」
 ホルスが喋る事の中にわからない単語が出始めてきたので、真は理解する事を諦めた。
「とりあえず、そのオベリスクとカグツチ塔がないと、僕らは創世を行えないって事だろ? どうしたらいいんだろう?」
 真が首を傾げた時、入り口から声がした。
「オベリスクは太陽の塔。この地にオベリスクの穂先を向けるべき太陽を示すのです」
 驚いてそちらを見ると、黒い外套を羽織った人物、葛葉シジョウがいた。
「シジョウ!」
「菊地真。貴女ならばその『太陽』を示す事が出来るはずです」
 そう言って、シジョウは一振りの剣を取り出した。
「これは貴女の持つ剣、ヒノカグツチとほぼ同じの剣。刀身は猛る炎に包まれ、銘をヒノカグツチといいます」
「僕の剣と同じ?」
「ええ、ですが少し違う。私の剣と貴女の剣、元々一つだったものが何かの要因で二つに分かれた物のようです」
 シジョウはもう一つ、外套の中から一枚の紙切れを取り出した。
 そこに書かれていたのはHRインフォメーションという社名と、秋月律子という名前。
「律子に会ったのか!?」
「ここに来る前……正確に言えば、あの人修羅、天海春香に出会う前です」
「春香にも会ったの!?」
「その話はまた後ほど。今は秋月律子から聞いた話を、貴女に聞かせるのが先です」

*****

「それはおかしいわね」
 HRインフォメーション内で律子は唸った。
 シジョウの話を聞いて、目に見えた違和感を感じ取ったのだ。
「そもそもこの件の発端は葛葉がバンナムの研究員に悪魔召喚の資料を渡した事よ。だとすれば、貴女がこの件に介入し、鎮圧を目的にしている意味がわからないわ」
「葛葉は既に、前世界を放棄していました。故に受胎が始まる直前までサマナーを一人たりと動かさなかったのです」
「……葛葉が前世界を見限った理由って何?」
「色々あります。それこそ環境問題、戦争、エネルギー危機、それら全てを危惧し、一度『まともだった時代』にまで逆行させるのが一番の手段だ、と」
「その為に、受胎を起こさせて、世界を葛葉のいい様に作り変える、って事ね。反吐が出るわ」
「ならば秋月律子、貴女ならば滅び行く世界を、ただ静観し、死んでいくのを甘受するというのですか?」
 どうしようもなかった世界の状況。それを思えば、受胎という危険を冒してまでも世界のリセットは必要だったかもしれない。だが、それには大きなリスクを伴う。
 今現在、ボルテクスに生きているコトワリは複数ある。そしてそれのほとんどが葛葉の理想とは遠いもの。葛葉としてはそれらのコトワリが創世を行うことにいい顔はしないだろう。
 逆を言ってみれば、そんな危険を冒す事でしか世界は救いようがなかったのかもしれない。
「……起きた事を今更どうこう言っても仕方ないわ。それより、建設的な話をしましょう」
「賛成です。まずは私、葛葉シジョウの意見を述べましょう。私は菊地真に創世を行わせる事を推します」
「ええ、それが一番でしょうね。あの娘なら上手くやってくれるはず。私もそう信じられるわ」
 人でも悪魔でもない、魔人として覚醒しつつある真。だが、その心は人のままだと信じられる。しかし、彼女には翼はない。創世のためにカグツチへ向かおうにも、その道がない。
「そこで秋月律子、貴女ならと思い、尋ねました」
「カグツチへ至る道、オベリスクとカグツチ塔ね」
 徒歩でカグツチへ至るには、その二つの塔が必要不可欠。
 何せカグツチはボルテクスの中心、遥か頭上にあるのだ。高い高い塔でもなければ近づく事さえできないだろう。
「一応、調べはついているけど、難ありね。それでも聴く?」
「是非」
 シジョウが首肯するのに答え、律子はメモを開く。
「カグツチ塔が顕現するには、ボルテクスのどこかにあるアマラ神殿にヤヒロノヒモロギを奉納するしかないわ。でもカグツチ塔はオベリスク目指して伸びてくる。今のボルテクスにオベリスクはない」
「本当に存在しないのですか? 隠れているだけ、と言う事はありませんか?」
「さすが葛葉、鋭いわね。そう、今のオベリスクは向かうべき先を見失っていて、姿を隠しているだけ。オベリスクの向かう先を示してやれば、自然とその姿を現すわ」
「どういうことです?」
「オベリスクってのは『太陽の塔』って意味よ。太陽に伸びる塔。つまりオベリスクの向かう先は太陽なの」
「……ボルテクス界の太陽といえば、カグツチしかありません」
 現状、地上を照らしてくれている存在といえばカグツチ。
 あれが太陽でないというならば、どこに伸びるべきなのだろうか?
「カグツチは確かに、オベリスクの向かう先。でもオベリスクをカグツチに向けるためには、もう一つこなすべきプロセスがあるの」
「……見当もつきませんね」
「そうかしら? 貴女の背負っている剣、それに覚えはない?」
 シジョウが外套の下に隠している剣、ヒノカグツチ。
 奇しくも天に輝くカグツチと同じ名前を関している剣である。
「何故貴女がその事を? 私がこの剣を持っているのは極秘であるはず」
「情報屋なめんじゃないわよ。……って言いたいところだけど、裏技を使わせてもらったわ」
「タイジョウロウクン……ですね?」
「話が早くて助かるわ。そして、貴女のカグツチと真の持っているカグツチ、その二つが分かれたのは恐らく、この夢が始まった瞬間。それまでは貴女の剣は刀身を有してなかったでしょうね」
「……夢? 理解しかねます」
「でしょうね。この事を知っているのは目覚めた数人のみ。貴女がわからなくてもしょうがないわ」
 律子の話す言葉に首をかしげながらも、シジョウはどうしてか疑う事ができなかった。
 それは単に、情報元がタイジョウロウクンというこの上なく信じられる人物である事。
 そしてもう一つ、どこか身体の内の内、本能とも呼べる場所が納得してしまっているのだ。
 彼女の言っている事は本当である、と。
「なるほど、貴女が情報集めに秀でている事はわかりましたし、その信憑性も確認できました。では貴女に問いましょう、オベリスクを顕現させる方法を」
「それは……」

*****

「秋月律子に聞いた方法とは、私の持つヒノカグツチと、菊地真、貴女の持つヒノカグツチを融合させる事」
「融合……? そんな事が出来るの?」
「古来、剣と悪魔、剣と剣の合体の方法を伝えている場所があります。それが、邪教の館」
「邪教の館って……私も行った事あるわ。確かオフィス街の地下にあったはず」
 イオリがピクシーからティターニアになれたのも、邪教の館に伝わる秘術のお陰。
 邪教の館の秘術とは強大で、サマナーにとってとても役に立つものなのである。
「じゃあ、早速その邪教の館に……」
「いいえ、まだです」
 そう言って、シジョウは剣を抜く。燃え立つ剣、カグツチを。
「先ほど、人修羅天海春香とは剣を交えてきました。彼女は強く、激しく、創世の器たり得ると確信いたしました。では、貴女はどうですか、菊地真?」
「ボクと戦うって言うのか?」
「その通りです。もしも貴女が創生の器たり得ないのであれば、私がその剣を預かり、貴女の代わりに創世を行いましょう。心配なのであれば、貴女の仲魔も助勢して構いませんよ?」
「キミはどうするのさ?」
「私はこの身一つで戦いましょう。無理を言っているのは私の方です」
「だったらボクも一人でいい」
 真も静かに剣を抜く。同じ様に燃え盛る剣、カグツチを。
 二振りのカグツチ。それらが見えただけで、この場が一気に明るくなった。
「ま、真ちゃん……」
「大丈夫、雪歩はそこで見ていて。ボクは負けない」
「大した自信ですね、菊地真。いいでしょう、見極めさせていただきます」
 シジョウはカグツチを構え、静かに踏み出す。


 音もない踏み込みから一閃、横薙ぎの水平斬りを、真は剣で受け止める。
 刀身が炎同士のカグツチでも、どうやら弾き返す事は出来た様で、防御は叶った。
 シジョウはさらに加えて、返しの刃で袈裟懸けに斬りつける。
 しかし、真は引きざまに剣を払い、シジョウの剣を弾く。
 隙が出来たシジョウ。攻守が逆転する。
 すかさず、真は低く構え、脇腹に向けて突きを放つ。
 シジョウはカグツチを打ち降ろし、真の突きを叩き落す。
 さらにふわりと前方に跳び上がり、身体を反転させつつ真の背中を斬りつけにかかる。
 真は地面を転がり、それを回避した。
 間合いが空く。
 先に間合いを詰めたのは真。
 深く踏み込んでカグツチを両手脇に構え、逆袈裟斬り。
 跳びはねての攻撃、と言う大振りを繰り出したシジョウはすぐさま反応できず、後方にバランスを崩しながらも何とか回避する。
 しかし、これは致命的な体勢の崩れ。
 真はすぐに上段に構え、剣を振り下ろす。
 シジョウはバランスを崩したまま、流れに身を任せつつ後ろに転がり、その斬撃を避ける。
 起き上がり際に剣を振りつつ牽制し、体勢を立て直した頃には、またも二人の間に間合いが空いた。

「ふぅ……」
 息を抜いたのは真。
 張り詰めた表情で見つめるのはシジョウ。
 正直、シジョウは真がこれほど出来るとは思っていなかった。
 何せ無名のサマナー、無名の探偵が、これほどの戦闘能力を持っているとは誰も思うまい。
 天賦の才。そう呼ばざるを得ないだろう。
 真の『可能性』は十二分にある。
 だが、それだけでは弱い。
「菊地真、殺す気で、死ぬ気で来なさい。私も殺すつもりで、死ぬつもりで参ります」
「……いいよ。キミがそれで認めてくれるのなら」
 ピリリと空気が張り詰める。
 雪歩は思わず、半歩にじり出てしまったぐらいだ。
 しかし、真は大丈夫だと言った。それを信じるしかない。

 殺気が立ち込める中、先に剣先を揺らしたのは真。
 中段に構えていた剣を大きく振り回し、両手脇に構え、前に出る。
 その動きに反応し、シジョウは剣を握る手に力を込める。
 見極める。魔人の攻撃と言うものを、見切ってみせる。
 そんな心積もりだったのだが、しかし
「本気で行くよ」
 そう呟いた声が聞こえた瞬間、真の姿を見失う。
 残ったのは眩いカグツチの残像。その閃きが瞬く間にシジョウの脇腹をすり抜け、
「とった」
 ゾワリと悪寒のするほど、至近距離から発された言葉。
 しかも、背後から。
 驚いて振り向くと、剣を収めた真がいた。
「……っ!」
 反応できなかった。
 防御なんて間に合うはずもない。
 あの『とった』とは『殺った』と言う意味なのだろう。
 間違いなく、シジョウは二度、斬られた。
 脇腹を払い抜けられ、さらに背後からも一撃食らっている。
 これが、魔人である真の実力。
 驚くべき成長幅。
「……参りました。認めざるを得ませんね、貴女の力を」
 そう言ってシジョウはカグツチを収め、真に渡す。
「ありがとう。でもいいの? これはキミの剣なんだろ?」
「私にはもう一振りの剣があります。流石にヒノカグツチほどの力はありませんが、仲魔と力を合わせれば、切り抜けられるでしょう」
「そうか……。じゃあ遠慮なく預かっておく」
 真は笑顔で頷き、シジョウから渡されたカグツチを受け取った。

「さて、後は守護って奴だけど」
 本来、ここに来た目的は守護を下ろす事。
 だが、見回す限り、手がかりになりそうなものはない。
「菊地真、気付いていないのですか?」
「……何が?」
 シジョウに言われて首を傾げる。
「今の貴女は、既に守護を携えている……いいえ、このボルテクス界で誰よりも早く守護を得ていたのは貴女なのですよ?」
「ボクが? いつ? どこで?」
「貴女がボルテクスに辿り着く前から、貴女はその剣として守護を得ていたのです」
 そう言って指差されたのはヒノカグツチ。
「この剣がボクの守護?」
「そう。ヒノカグツチとは天に輝くあのカグツチであり、その剣でもある。今のボルテクス界で最も強く、最も高みにある神性、それがヒノカグツチです」
「でも、ホルスは確か、この剣とカグツチは別物だって……」
「そう思えたのは私の剣が貴女の剣と分かたれていたからでしょう。どちらか片方だけでは、他の守護に易々と挫かれてしまうほどの神性しか持ち合わせません」
「そ、そうですピヨ」
 やたら目を泳がせているホルス。
 どうやらガチで別物だと思い込んでいたらしい。
 しかし、それに気付かず、真は自分の剣をしげしげと眺めた。
「そうだったのか……全然気付かなかった」
 確かに守護の名の通り、この剣には何度となく助けられた。
 この剣が真の守護だと言われれば、確かにそうである。
「これで貴女は創世に手をかけた最後の一人となったのです。他の敵を蹴落とし、創世へと至りなさい。私は貴女を信じています。きっと貴女が良い世界を築くと」
「……うん、ありがとう。期待に応えられる様に頑張るよ」
 真とシジョウはガッチリと握手を交わし、そしてそれぞれの行く道へと別れていった。

*****

「シジョウさん、一人で大丈夫かな?」
 アマラ神殿を後にした真一行。
 神殿を振り返りながら、雪歩がそんな事を零した。
「アイツだって今までボルテクス界を渡り歩いてきただけの力量はあるのよ? 私たちが心配するのが失礼ってモンだわ」
「そうですね。彼女は一流のデビルサマナーらしいですから、心配する事もないでしょう」
「ひょっこりカグツチ塔にも来ちゃうかもなの!」
 別れ際にはちゃんと『カグツチ塔でまた会いましょう』と言っていたシジョウ。彼女を心配する必要などないだろう。
「でも確かに、一緒に来てくれたら心強かったな」
「うん……もう戦う事はないよね、真ちゃん?」
「多分ね。きっとシジョウも味方してくれるはず」
 真の答えに雪歩も頷き、一行は再びオフィス街を目指すのだった。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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