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真・菊地探偵事務所 三章 5

5 ニヒロ潜入

 奇しくも、春香たちとは真逆の方向へと地下街を進む真たち。
 律子に聞かされた事をそのまま思い返す。
「確か、この地下道を歩いていけば、ニヒロって所に着くんだよね?」
「正確にはニヒロ機構がある地域、ですね。地上は地域と地域の境目に人が入り込めない場所がありますから、こうやって地下を進むしかないんですね」
「得意気に喋ってるけど、全部リツコが言ってた事じゃない。見かけ鳥だけに、鳥頭なわけ?」
「な! イオリちゃん、それはあんまりですよぅ」
 涙目になるホルスを放って、一向はそのまま地下街の出口へとたどり着く。

 外へ出るとまた、不思議な気分だった。
「向こうに見えるのが、さっきまでいたオフィス街だな」
「壁に張り付いてるみたいだね……ちょっと不思議」
「スペースコロニーって感じかな」
「……? 真ちゃん、スペースコロニーって?」
「あ、いや、聞かなかったことにして」
 雪歩に首を傾げられ、真は慌てて手を振る。
 普通の女の子ならばガンダムなんて見ないだろう。
「そんな事より、見えてきたわよ、ニヒロ機構の建物が」
 そう言ってイオリが指差す先には、背の低い円筒型の建物が建っている。
 ここからでは遠すぎて、全体像が掴めないが、恐らく見えている部分だけがアジトと言うわけではないだろう。
「地下に伸びてるのかしら。見えてるのは氷山の一角ってところでしょうね」
「……ん? あれ、待てよ?」
 何かに気がついて、真がふと足を止める。
「あっちがオフィス街だから……ここは確か、あずささんの家があった林の辺りじゃないか?」
 位置的には確かにそうなる。
 林自体は千早の魔法で吹き飛ばされていたので、見当たらないのは当然だとしても、ニヒロ機構のアジトのような建物はどこにもなかったはずだ。
「大急ぎで建てたってわけでもなさそうだし、どういうことだろう?」
「真さん、それはですね……この世界には記憶があります」
「世界の記憶?」
「そうなの!」
 ホルスの説明を引き継ぎ、ミキが胸を張る。
「このボルテクス界は幾つも代を重ねた後の記憶で出来てるの。でも世界自体は出来損ないに近いから、構成する大部分をその記憶で補ってるの」
「……ごめん、ミキ。何を言ってるのかさっぱりなんだけど」
「頭弱い真くんも可愛いの!」
「えっ、バカにされたの? 褒められたの? どっち?」


 そんな事をやりつつ、一行はニヒロ機構へと近付く。
 流石に建物に近付くにつれて雑談は減ったが、それゆえに気付く。
 アジトの方が騒がしい、と。
「見張りが一人もいない……でも中から声はする。どういうこと?」
「さぁ、それは私にも……」
「ミキ的にはニヒロ機構って静かな世界を目指す集団だったはずなの。あんなに騒がしいなんておかしいって思うな」
「何かあったって事……かな。真ちゃん、どうするの?」
「行ってみるしかないだろ。ここまで来たのはちゃんと目的があるんだから」
 異変に気付きつつも、少しずつ建物に近付く。

 見張りがいない事を確認し、間近まで迫ると、建物の中から悪魔が出てきた。
 驚いて身構えたが、出てきた悪魔はどうやら死に掛けているようだ。
「た、助けて……」
「大丈夫ですか!?」
 雪歩がその悪魔に駆け寄る。悪魔は小さな天狗のようだった。
 天狗の身体は傷だらけで、体中からマガツヒが漏れ出ている。
「人間……黒衣の悪魔使いが……あいつら、強すぎる……」
「黒衣の悪魔使いって……バンナムの地下にいた奴らじゃないの?」
 天狗の言葉を聞いて、イオリが記憶を掘り返す。
 受胎直後、バンナムの地下で雪歩と春香が戦った悪魔使いは黒いマントを羽織っていた。葛葉シジョウと言っただろうか。
「あいつら、なんだってこんなところに?」
「ボクらと同じ目的かも?」
「だったら悠長にしてられませんね! 真さん、早く行きましょう!」
「う、うん、雪歩!」
「今行く!」
 最低限の治癒魔法を施した雪歩は、真に続いて建物の中に入っていった。
 天狗はそのまま気を失ってしまったようだった。

*****

 一行がニヒロ機構へ向かった理由は、数時間前、律子から提案された事が起因している。

「今、ニヒロ機構は一強。他の誰も、創世を行えるほどのマガツヒを持ってはいないわ」
 HRインフォメーションの中で、律子は言う。
「情報によると、ニヒロ機構は既に守護って言う神様を降ろすだけのマガツヒを有している。コトワリも明確になっているわ。創世の準備はリーチってとこまで来てるってわけね」
「じゃあ、どうするんだ? すぐにどうにかしないと、ボクらは完全においていかれちゃうよ」
 創世は一人だけに許された権利。早い者勝ちである。
 ニヒロ機構のトップがその権利を手に入れれば、他の者は全て、創世によって作られた世界に従わなければならない。
「だから、守護を降ろしちゃう前に、アンタたちがマガツヒを奪っちゃえばいいのよ」
「奪っちゃえば良いって……リツコ! アンタ、簡単に言いすぎじゃないの!?」
「おぅおぅ、デコちゃん、図体だけじゃなくて態度もでかいわね。……確かに、ニヒロ機構は大きな組織よ。真たちがどれだけ強くたって、数で攻められれば苦戦は必至でしょうね。でもチャンスがないわけじゃない」
 律子がターミナルに手を触れると、円筒形の部分が回転を始め、彼女に情報を伝える。
「ニヒロの主力は今、大移動を開始しているわ。行き先は……ちょっと離れた市民会館ね。そこで守護を降ろす儀式を行うようね」
「じゃあ、それを叩けばいいのか!?」
「そっちに行けば、十中八九、返り討ちに遭うわよ。言ったでしょ、そっちが主力なんだってば。アンタたちが行くのは、空になったニヒロ機構のアジトよ」
「そこに何があるんだ?」
「ニヒロ機構がマガツヒを集めるために使っていた装置は、大量のマガツヒを集めさせたわ。それは単に守護の降臨、コトワリの啓示だけに集めていたわけじゃない。悪魔に分け与えて、自分の手駒を強化するために集めたものもあるのよ」
 マガツヒは『願い』を叶えるためのエネルギー。
 それを使えば、どんな小さな悪魔でも強い力を得る事が出来る。
 相応のマガツヒを集める事が出来れば、最強のピクシーを作る事だって可能なのだ。
「その強化のためのマガツヒが、まだアジトにあるはずよ。それを掠め取れば、真たちにも守護を降ろす事が出来る。そうすればニヒロ機構を出し抜く事は出来なくても、対等にはなれるはずよ」
 創世は守護を降ろした時点で行えるわけではない。カグツチに辿り着いて初めてそれが成るのだ。
 とすれば、危険を冒して出る杭を打つより、スタートラインを同じくする方が、安全だろうか。
「日和ってんじゃないわよ! 真! すぐに市民会館に行って、やつらをぶっ潰すわよ! そっちの方が手っ取り早いわ!」
「デコちゃん、焦りすぎなの」
「んなっ!? 雪だるまなんかに諭される覚えはないわ!」
「ニヒロなんとかって所も、守護を降ろしただけじゃ、創世は絶対に行えないの。創世するためにはまだ一個、鍵が足りないの。それが解けないと、ミキたちもニヒロなんとかも創世できないんだから、まだゆっくり行こうよ」
「悠長に構えてられないでしょ! 敵は私たちより数歩先を行ってるのよ!?」
「だから、ボクたちも同じスタートラインに並ぶんだ。あっちが先にスタートできない状態なら、焦って危険を冒す必要はない。そうだろ、ミキ?」
「そうなの!」
 真の願いは誰も失わずに創世を行う事。無理して突っ走った挙句、取り返しのつかない事になったら意味がない。
 とすれば、ここは律子の案に乗っておくのが無難。
 目指すはニヒロ機構のアジトだ。

*****

 と言うわけで、ニヒロ機構内部。
 建物の中は正に死屍累々。
 悪魔たちの死体が積み上げられ、そこかしこからマガツヒが溢れ出ている。
「これを、たった一人でやったのか……」
 その様子に、真はたじろぐ。
 死んでいる悪魔の数は尋常ではない。
 使役する悪魔がいたとしても、これをたった一人の悪魔使いがやったとなると、かなりの手練である事は間違いないだろう。
「下手すると、戦う事になるからね。アンタも気をつけなさいよ」
「わかってるよ。ボクが先頭を行くから、ホルスが殿、雪歩たちは固まってついてきて」
 パッと隊列を組み、エントランスホールを抜ける。
 すぐに廊下にたどり着き、更に下へと向かうエレベーターも発見する。
「動いてるみたいですね。どうします?」
「行くしかないでしょ。こんなところで怖気づいてなんかいられないわ」
「じゃあ、みんな入って」
 全員でエレベーターに乗り込み、地下へと向かう。


 地下へつくと、そこは螺旋階段のようになっていた。
「エレベーターを出てすぐ階段って斬新だな……」
「気をつけてください、下からすごく強い悪魔の気配がします」
 ホルスの注意を受け、真は螺旋階段の下を覗く。
 暗くなっていて良く見えないが、確かにそんな感じはする。
 下には何かがいる。
「よし、隊列を変えよう。ここまで来た様子からして、後ろからの奇襲はまずないだろうし、ボクとホルスが先頭、雪歩たちは後からついて来てくれ……雪歩?」
 真が後ろを振り返ると、雪歩が小さく唸っていた。
 自分で自分の身体を抱き、震えているようにも見える。
「雪歩!? どうしたんだ!?」
「う、うう……真ちゃん……」
「どこか痛いのか!? 苦しいのか!? イオリ! 回復を……」
「真さん、離れてください!」
 真が目を離した瞬間、雪歩は真に向かって飛び掛る。
 大口を開けて、まるで噛み付くかのように。
 ホルスのお陰で、真はそれを防ぐ事に成功する。
「ゆ、雪歩!? どうしたんだ!?」
「真ちゃん……おいしそう……」
「なっ!?」
「ちょっと味見を……うっ、ダメ! ……あぁ!」
 雪歩が真の首筋に噛み付こうとした瞬間、雪歩の動きが止まる。
「う、うぅ……真ちゃん、逃げて……」
「ど、どうしたんだ、雪歩!? なにがあったんだ!?」
「何も聞かないで、逃げて……ッ!」
 泣き出しそうな声でそう言った雪歩は、エレベーターから出て、螺旋階段を飛ぶように下っていく。すぐにその姿は見えなくなった。
 普段の身体能力では考えられないスピードだ。
「な、何があったんだ……!?」
「あれはチューナーの性です」
 雪歩を見送りながら、ホルスがそう言う。
「アバタール・チューナーとは、自分自身の身体を悪魔にチューニングして戦闘する人たちの事です。彼らは人でなくなったが故にマグネタイトを自身で生産できず、その枯渇が飢えとなって現れ、他者を食らって足りなくなったマグネタイトを補おうとします」
「雪歩がそれだって言うのか!?」
「真さん、雪歩ちゃんは悪魔の血が流れてるんじゃないですか? その場合、チューナーになってしまう可能性は大いにあります」
 そう言えば、シジョウも雪歩を見てそんな風に言っていた。
 と言う事は、雪歩はアバタールチューナーになってしまったと言う事だ。
「そんな……直せないのか!?」
「今のところ、アバタール・チューナーから元の人間に戻った例は確認されていません。ですが、彼らの飢えを抑える事はできます」
「ほ、本当か!?」
「ええ、とにかく今は雪歩ちゃんを追いましょう」
 壁に反響して足音が聞こえる。どうやら下へ下へとすごいスピードで進んでいるらしい。
 真はすぐに起き上がり、螺旋階段を下っていった。

*****

 アマラ経絡の奥の奥。
 深遠よりも一歩手前の場所で、あずさが目覚める。
 起き上がってみたものの、その目に生気が見られない。
 心に浮かぶ言葉が一つ。ああ、これでまたやり直し。繰り返し。
 ふと顔を上げると、やよいのポーチが目の前に落ちていた。
『三浦あずさよ』
「……だれ?」
 誰もいない場所から声がする。
『お前も覚醒者の一人となれ。繰り返すこの悪夢から、彼女を救い出してやるといい』
「誰なんです? 彼女って一体……?」
『お前は知っているはずだ。彼女が負った、世界を作り変える代償を。彼女が辿った末路を。だがそれは私が許さない』
「どういうこと?」
 周りを見回すが、あるのはマガツヒの流れのみ。
 精霊が見え隠れしてはいるものの、誰もあずさに見向きもしない。
「どこにいるの?」
『お前の想い人のすぐ傍だ。彼の者の魂は私が握っている』
「ぷ、プロデューサーさん!」
 途端にあずさの目に光が戻る。
 名を失くした男性、プロデューサー。彼はまだ魂の死には至っていないらしい。
「ど、どこにいるんですか!?」
『それを知りたければカグツチに至れ。創世の機はすぐそこまで来ている』
「創世……カグツチ……そうか、私は……」
 光の戻ったその目に、鋭く冷たい物が混じり始める。
 いつもの柔和な目ではなく、あるのは鋭い獣の眼光のみ。
「私はあの人の望む世界を作る。もう誰の力も借りたりしない。頼るから裏切られる。私は私の力で成し遂げてみせる」
 その眼光の睨む先は経絡の出口。光り輝くそちらへ、足を向ける。
 彼女の足元に、もうポーチはなかった。

*****

 ニヒロ機構の螺旋階段の最下部から繋がる部屋。どうやらマガツヒの貯蔵庫らしく、通路の下には赤黒い物がフラフラと充満している。
 その通路の上に、狂ったように吼える雪歩がいた。
「墜ちましたか。しかし、抗っているようにも見える」
 対するのは黒いマントを羽織ったデビルサマナー、葛葉シジョウ。傍らにはネコマタのヒビキもいる。
「どうする、タカネ! ここでやっちゃうか!?」
「いいえ、あのチューナーがいるのだとしたら、あのサマナーもここにいるはず」
 シジョウは部屋の出口にあるドアを見やり、少し笑う。
「あの方とは少し話してみたい気がします。それまで、あのチューナーは餌として手元に残しておきましょう。出来ますね、ヒビキ?」
「がってんさー!」
 指示を受け、ヒビキは雪歩に向き直る。
「う、うう……悪魔、食べる……おいしそう……」
「自分を食べるなら、相当の覚悟をしてもらわないとね! それこそ、死ぬような!」
「う、うう、うううう!!」
 強い唸り声を上げる雪歩。
 その途端、彼女の左腕に浮いている模様、アートマが光り、足元から光線が伸びる。
「気をつけなさい、ヒビキ。あれがチューナーの本当の姿です」
「へぇ、なかなか強そうじゃないか!」
 光線が治まった時、その場に雪歩はいなかった。
 いたのは女性形の悪魔のみ。
 八つの雷が身体を這い回るその悪魔は、ゾッとするほど美しかった。
「ぐぅ、うぐぐ……」
 その悪魔から漏れ出てきた声は、しかし雪歩のものだった。
 悪魔の姿は雪歩が変身した姿。チューナーとは自分の身体を悪魔に変えるもの。
 これが雪歩に備わった力である。
「食べたい……食べたくない……食べたい……食べたくない」
 雪歩はそんな事を呟きながら、その場にうずくまる。
 どうやら食欲と理性がせめぎあっているらしい。
「な、なんかおかしいぞ、コイツ」
「ヒビキ、こちらから手を出す必要はありませんよ。ああやって苦しんでいるうちは、こちらに害をなしては来ないでしょう。それより、サマナーが来ますよ」
 そう言ってシジョウの視線の先を見ると、ドアが音を立てて開く。
「雪歩! 大丈夫か!」
 入ってきたのは真一行。
 それを見た雪歩は、絶望的な顔を真に見せ、そのまま壁を破って逃走した。
「な、何だあの悪魔……いや、あれが雪歩なのか?」
「あれはチューナーの真の姿。どうです、サマナー。あれを見ても貴女はまだ、彼女を仲間と呼べますか?」
 面を食らっていた真に、シジョウが質問を投げかける。
「どういう意味だ!」
「そのままの意味です。あの少女は明らかに人の輪から外れました。しかしあのような面妖な姿になったとしても、生きる本能には抗えず、他を食らい、その内貴女にまで危害が及ぶかもしれません。それでも貴女は彼女を仲間と呼び、隣に置いておけますか?」
「当たり前だろ!」
 その質問に、しかし真は即答する。
 今度面を食らったのはシジョウの方だった。
「雪歩は大事な仲間で、ボクのパートナーだ! どんなに姿が変わっても、ボクは雪歩と一緒に居続ける!」
「……少し妬けますね。それほど信頼できるパートナーが居ると言うのは」
「君にとって、そのネコマタは違うのか?」
 真に言われ、シジョウとヒビキが顔を合わせる。
 最初に笑ったのはヒビキの方だった。
「やめてよ。自分とタカネは契約で一緒に居るだけの、サマナーと悪魔だぞ? 仲魔であっても、仲間じゃない。用済みになったら合体なりなんなりしてくれた方が、自分としてもマシだね!」
「……というわけです。私たちの関係とはそういうもの。悪魔と人間とはそれで十分なのです」
「一時的な協力関係って事か?」
「その通り。……逆に問いましょう。貴女は恒久的な協力関係を悪魔に望むのですか?」
 言われて真は後ろを振り返る。
 そこに居たのはイオリ、ミキ、ホルス。
 彼女たちの協力を得られるなら、心強い。
 しかし、
「それは現世においても? このボルテクス界だけの協力ならば、それは恒久的とは言えないのではありませんか? 貴女は仮にカグツチに至ったとして、悪魔の協力を得られる世界を作るつもりですか?」
 シジョウの言葉で心が揺れる。
 考えて見れば、悪魔の出現と共に真の日常は崩れた。
 悪魔が現れなければGUMPを手に入れることもなかったろうし、雪歩があんな目に遭わなくても済んだはずだ。
 じゃあ、真は悪魔の居ない世界を作りたいのだろうか?
「悪魔の居ない世の中の方が、過ごしやすいとは思いませんか? 悪魔など最初から居なければいい、とは考えませんか?」
「違う、それじゃあ、取りこぼしてしまった物を、全部拾い上げられてない」
「……その言葉の意味は問いませんが、それは返答として否と言う事でよろしいのですね?」
「ボクは全部を取り戻す。イオリたちだって、誰一人欠けさせたりしない。ボクはボクの居た全ての世界を元通りに戻すんだ」
「なるほど。貴女の心の内、良くわかりました」
 そう言ってシジョウはマントの内側から管を取り出し、ヒビキをその中に戻した。
 戦闘状態ではない、と言う意味だろう。
 それを見て真も警戒を解く。
「返答が違っていれば、この場で貴女を討ち、私が創世をするつもりでしたが、貴女を信用しましょう。ここにあるマガツヒを全て持っていきなさい」
「君はどうするんだ?」
「私は私のやるべき事があります。まずはそちらを片付け、再び貴女の許を訪れましょう。しかし注意なさい。私はいつでも貴女を見ています。その向かう先が私と対立した場合、容赦なく貴女を切り捨てます」
 シジョウは懐からかんしゃく玉を取り出し、床に叩きつける。
 すると閃光が走り、真たちの目がくらんでいる間に、シジョウはどこかへ消えた。
「な、なんだったんだ……?」
「とにかく、今はマガツヒを回収して、ユキホを追うわよ! あの娘をあのまま放っておけないでしょ!?」
「そ、そうだね」
 イオリに言われて、貯蔵庫からありったけのマガツヒを手に入れ、真たちは雪歩がぶち破った壁の中へ消えた。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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